【お金の勉強ノート⑧】有事のとき、何が買われて、何が売られやすいのか

世界のさまざまな国の硬貨が、並んでいる写真 投資

「有事の金」「有事の円買い」「有事のドル買い」など、「有事の〇〇」という言葉を、よく聞きます。
有事とは、戦争や金融危機、感染症の拡大など、世界が大きく不安になるときのことです。
今回は、有事のときに、何が買われて、何が売られやすいのかを、まとめて勉強したので、メモします。
まだ勉強中なので、間違いがあれば、あとで直します。

先に、ポイントを3つに絞ると、次のとおりです。

  • 不安が高まると、「安全に見えるもの」が買われ、「リスクがあるもの」が売られやすい
  • 何が買われるかは、有事の種類(金融危機、戦争、感染症など)で変わる
  • でも、いつもそうなるとは限らない(有事のあとの、金利やドルの動きで、結果が変わる)

理由その1:不安になると、お金は「安全なところ」へ逃げる

有事のとき、売られやすいものと買われやすいものを示した図解

有事のとき、投資家がまず考えるのは、「大きく損をしたくない」ということです。
そこで、値下がりしそうなものを売って、安全に見えるものに、お金を移します。
この動きを、「質への逃避」といいます。

2022年2月24日に、ロシアがウクライナに侵攻したときも、そうでした。
侵攻の直後には、世界の株などのリスク資産が大きく売られる一方、国債や金が買われる場面がありました。
供給が減るのでは、という不安から、原油も上がり、北海ブレント原油は、2014年以降はじめて、1バレル100ドルを超えました。
(出典:アライアンス・バーンスタイン「ウクライナ情勢を巡るグローバル市場の動向」2022年2月25日)

一般に、有事のときは、次のようなものが、買われやすいといわれます。

  • 国債(とくにアメリカの国債):国が、元本と利息を払うと約束しているためです。国債が買われて値段が上がると、利回り(金利)は下がります
  • 金:利息は生みませんが、国や会社の信用に左右されないためです
  • ドル:世界のお金の中心で、いざというときに必要とされるためです

また、戦争などで、供給が止まるのでは、という不安から、原油が上がりやすくなることもあります。
これは、安全だから買われる、というわけではありません。

反対に、売られやすいといわれるものは、次のとおりです。

  • 株:会社の業績が悪くなるのでは、という不安から
  • 信用力が低めの会社の社債:安全な国債との利回りの差が広がります(国際通貨研究所の資料)

円やスイスフランも、安全な通貨として買われやすいといわれます。
ただし、最近の円は、そうならない場面も増えています(あとの段落で書きます)。

理由その2:有事の種類で、「何が不安か」が変わる

有事の種類ごとに、不安の中身と買われたものを示した図解

ひとくちに有事といっても、不安の中身は、毎回ちがいます。
その中身によって、買われるものも変わります。
3つの例で、見てみます。

① 金融危機(2008年のリーマン・ショック):「貸したお金が、返ってこないのでは」という不安
お金を貸し借りする「信用」への不安が強いときは、安全に見える国債(とくにアメリカの国債)やドルに、お金が向かいやすいといわれます。

② 戦争(2022年のウクライナ侵攻):「資源が足りなくなるのでは」という不安
ロシアは、エネルギーの大きな輸出国です。供給が減るのでは、という不安から、原油が上がりました。
同じ時期に、株は売られ、国債や金は買われました(出典は、上と同じ、アライアンス・バーンスタインの資料です)。

③ 感染症(2020年3月のコロナ・ショック):「とにかく、現金がほしい」という不安
アメリカの株(S&P500)は、2月19日の高値から、3月18日までに、約30%下がりました。
支払いなどに必要なドルの現金を確保するため、ふだんは安全とされる米国債でさえ、一部で売られました。
(出典:国際通貨研究所「「コロナショック」は金融システム不安とドル資金不足へ」2020年3月19日)

つまり、何への不安が強いかで、買われるものが変わります。たとえば、「信用」への不安なら国債とドル、「供給」への不安なら原油、「現金不足」ならドルの現金、といった具合です。ただし、これは目安です。

いつも、そうなるとは限らない

2025年4月と2026年の例、円について、有事でも想定どおりにならなかった場面を示した図解

ここまでが、教科書的な説明です。
ただ、近年は、そのとおりにならない例も、目立ちます。

  • 2025年4月(アメリカの関税の発表):関税政策が経済を押し下げるのでは、という懸念から、米国の株・債券・ドルが、そろって下がる「トリプル安」の局面がありました。お金が、米国の資産から出ていった動きだとされています(マネックス証券の解説)
  • 2026年2月末以降(中東情勢の緊迫):金(ドル建て)は、有事に買われるとみられていたのに、下がりました。原油が上がってインフレが心配になり、アメリカの利下げへの期待が後退。金利とドルが上がり、利息を生まない金には、逆風になったとみられています(ピクテ・ゴールド 2026年5月14日)
  • 円:2022年のウクライナ侵攻のあとは、円が買われず、円安ドル高が進みました(出典:マネックス証券)。2025年6月のイスラエルとイランの戦闘では、円高か円安か迷う場面もありましたが、結局は円安が進みました(出典:ピクテ 2025年6月24日)。2026年2月末の中東での攻撃のあとも、ドル高・円安が広がりました。「有事のドル買い」という説明が多い一方で、原油高や、日米の金利差の拡大が大きかった、という分析もあります(出典:マネックス証券)。こうしたことから、「有事の円買いは弱まった」という見方が増えています。ただし、国際通貨研究所の分析では、2024年末から2025年4月上旬に、円が買われる傾向が確認されており、完全になくなったとは言い切れません(出典:国際通貨研究所 2025年6月9日)。

共通するのは、有事の「そのあと」に、金利やインフレ、ドルの動きが、効いてくることです。
たとえば、金は利息を生まないので、金利が上がると、不利になりやすい資産です。
有事で金が買われても、同時に金利が上がれば、値段が下がることがあります。

まとめ

有事のときの、お金の動きは、次のとおりです。

  • 不安が高まると、国債・金・ドルなどの「安全に見えるもの」が買われ、株などの「リスクがあるもの」が売られやすい
  • 何が買われるかは、不安の中身(信用・資源・現金不足など)で変わる
  • でも、有事のあとの金利・インフレ・ドルの動きで、結果は変わる。「有事だから、〇〇」と決めつけない

※勉強したことのメモです。投資をおすすめするものではありません。

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